1960年、黒澤明監督作品です
汚職を題材にしたサスペンスドラマです
黒澤作品の中では社会派ドラマのニューシネマです
三船敏郎演じる西はミステリアスで独特な魅力です
三船は七人の侍の猿のような雄々しい男の印象がありますが、こういう役もできるというのはさすがです
西を見たとき「サンクチュアリ」という漫画を思い出しました
冒頭の結婚式での記者の内緒話は登場人物の紹介をしています
この手法はゴッドファーザーでも使われ、この映画が参考にされています
以下ネタバレ注意(反転して読んでください)
「あくまで、あなたを信頼してるからよろしく」と自殺に追いやるところは、見ていて寒気がします
葬式に参加してる上司を見ながら、自分の死を笑う上司の声をテープレコーダーで聞かされる演出はたまげました
自分の葬式を見るのはどんな気分なんでしょうか
西を乗せたスクラップになった車の伏線がすごいです、思わず巻き戻して見てしまいました
題名のよく眠る悪い奴とは、姿も見せていないラストの岩渕の電話相手のこと
巨悪な奴ほど姿を見せず、よく眠るということです
最後に岩渕は息子と娘を失います、彼も巨悪の被害者の一人になります
「悪を憎むのは難しい。憎しみをかき立てて、俺自身悪にならなきゃできない」本作で佳子を演じた香川は、終盤で三橋演じる辰夫の車から降りるシーンで、 シートベルト をしていなかったので誤って車がブレーキをかけて止まった反動で、フロントガラスに頭から突っ込んでしまい、顔を何針も縫うほどの大怪我を負ってしまった
傷も大きかったので、香川は「 もう女優の仕事はダメかもしれない 」と引退を本気で覚悟したといいます
社会派で最後まで油断できない映画です
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